2021 June

 

   
 
 

ワタリウム美術館に「まちへ出よう展~それは水の波紋から始まった~、を見に行く。1995年街全体を使った展覧会「水の波紋」は世界でも類を見ない挑戦的なものであり、阪神淡路大震災や地下鉄サリン事件の直後、東京は異様な緊張感に包まれ展示は困難を極めたそう。水面に落ちた一粒の水滴が波紋となってゆっくり広がって行くように、アートが人々の心に届く事を願って付けられたネーミングも素晴らしい。

 

 

 
 
 

2020年以来、世界中がコロナのパンデミックに翻弄され全ての価値観の変化を余儀なくされている今、「水の波紋95」展を再び呼び覚まし次なる波紋が広がっていくように・・・。何ともファンタジックな時を越えた企画、懐かしい気持ちと当時の出来事が蘇る。

i

 

 
 

3331Arts Chiyodaは2010年に旧千代田区立練成中学校を改修して誕生したアートセンター。現代アートに限らず、建築やデザイン、パフォーマンスから地域の歴史や文化まで多彩な表現を発信する場であり、あらゆる人達の「表現したいという想い」に寄り添う「アートの拠点と地域の憩いの場」が共存する場、とのポリシーがしっかり根ずいた活力に溢れた会場に驚く。

 

 

 
 

千代田区芸術条例に基ずき策定された千代田区文化芸術プランとして始まり、公募により選定された運営団体が民設民営で運営を行っているとか。学校の旧舎を改装したアートセンターにありがちな「昭和レトロ感」のない、モダンな空間に生まれ変わった教室や水飲み場が何とも新鮮。

 

 

 
 

友人であり大好きな彫刻家、村尾里奈氏の展覧会に伺う。無機質で冷んやりした佇まいの作品が並ぶ静かな空間、彫刻というより作品がその空間を創り出しているような不思議な彫刻。大きな作品は空間を支配するように、小さな作品は空間を創り出すように・・・。何とも言えない魅力に溢れた作品たち。

 

 

   
 
 
 

江戸東京博物館に特別展「冨嶽三十六景への挑戦 北斎と広重」展を見に行く。以前すみだ北斎美術館で北斎の画業について知る機会があり、宝暦10年という途方もない昔に90歳まで描き続けたその絶筆を見た時以来、益々興味を持つようになった北斎。ヨーロッパにいると「北斎と広重」とセットの様に思うこの2人の浮世絵師について学ぶような展覧会。

 

 

 
 
 
 

30年ぶりに訪れた江戸東京博物館、約9000㎡という広大な展示室に江戸の町が再現された圧巻の展示。実物大の日本橋を渡り寛永時代の町人地や大名屋敷、幕末の江戸城御殿を復元した縮尺模型で江戸城を中心とした町割りを体感。

 

 

 
 
 
 

人々の暮らしや当時の出版社である絵草紙屋や、江戸の商業「三井越後江戸本店」など、精巧に作られた模型で江戸の町にタイムスリップしたよう。実物大の神田明神の山車がそびえる足元には北斎の画室、芝居小屋「中村座」も見える。江戸から東京へ、文明開化の朝野新聞社や第一国立銀行の再現、ニコライ堂や銀座煉瓦街の模型はバックの色調が朝陽から夕陽へ、モダン東京の「和洋折衷住宅」まで学べるテーマパークのような博物館。

 

 

 
 

鹿島彫刻コンクールは1989年以来「彫刻・建築・空間」をテーマに隔年で開催されているものだそう。ロビーに飾られている昨年の受賞作品、鉄の動く彫刻「RESONANCE MACHINE」はティンゲリー作品を思わせる動く愉快な作品。「generating 2019」は素材がジュート麻と言うのも面白く、軽さと空洞感にEva Hesseの作品を思い出す。

 

 

     
 
 
expo index   page top

home